貸出条件は感想文の私設図書館

netibnews_nagasaki
NETIB NEWS 長崎さんに、松原図書館を取材していただきました
(ネットアイビーニュース、株式会社データ・マックス)
下記のホームページに掲載いただきました
ありがとうございます
下記をクリックしてください
http://www.data-max.co.jp/area_and_culture/2014/08/12124/0805_dm1718/
(掲載記事抜粋)
明治から続く長崎市の歓楽街・銅座町。その一角に、本を通じた出会いの場がある。「松原図書館 忘れかけた本棚」。市民劇団「劇団しっぽくパラダイス」を主宰する劇作・演出家の松原一成氏が、元は赤絨毯のクラブだったという空き店舗を借り、内装をすべてやり変え、自身の誕生日である1月26日にオープンした。
 「本について語りたい人が来る場所」という松原氏。設置された本棚にズラリと並ぶ約5,000冊の本は、すべて自身が購入したコレクション。好きな作家の初版の単行本も並べられている。サスペンスや時代小説から絵本、最新コミックまで、その範囲は実に広い。貸出システムはそのほかの図書館とひと味違う。訪れた人との会話を通じて松原氏が本を選ぶ。これまでに読んできた本や好きな作家を聞き、その人に合ったものを貸し出すのだ。利用者が守る特別ルールは1つ。それは、読んだ本の感想をノートに書くこと。「感想文を書く時に、本の内容を思い起こしますよね。このもう1回、思い返す時が、脳にとってすごく良いんです」というのが理由の1つだ。
 元県職員の松原氏は、地域振興課に在職中、伊王島町の広報ソング「伊王島讃歌 アイラブユーがいえる島」(1995年)を作詞・作曲するなど才能を発揮。「趣味と仕事は分けたかった」というが、その才を周囲は放っておかず、現在に至るまで、歌、芝居、祭りと長崎市のさまざまな文化活動に携わってきた。まち歩き観光「長崎さるく」(「さるく」は、長崎弁でまちをぶらぶら歩くこと)では、講師として市民ガイドを育成。また、12年からは長崎市鍛冶屋町の清水寺で、長崎の伝統・文化を学ぶ「大人の寺子屋」を開講。第一期「ながさきの愛し方」(12年9月~13年3月)、第二期「ながさきの宝もの」(13年9月~14年3月)と続き、そのなかでクラブ活動として参加者のグループが製作に取り組んだいろはカルタが間もなく完成するという。
 多くの歴史・文化が残る長崎において、「過去にばかり頼ってはいけない。今を生きる我々も新しいものを作らなければ」と語る松原氏は、貸出率ばかり重視する公営図書館の姿勢に「2週間で10冊も借りて、しっかり読めるのだろうか」と疑問を呈す。松原図書館で大切にしたいのは、本のストーリーを共有した上での交流である。